エクシリア2

 青い空の中を、蒼の蝶が飛んでいる。 海を臨む場所に、“彼ら”の墓はあった。「コルル。ちょっと待っててね」 色とりどりの花を抱えて墓石に歩み寄った少女は、それらをそっと供える。彼女の足元を忙しなく歩き回る子猫は、後ろからゆっくりとやってきた…

互いの証は互いの存在

 そこには、もう帰れないはずの日常が広がっていた。失った日々が、手放してしまった毎日が、そこにはあった。 正史世界の事を忘れたわけではない。いつか終わる夢だという事もわかっていた。 ただ、そこで迎える平穏な朝があまりにも懐かしくて、少しだけ…