二次創作

Twitterに上げていたSSや本の再録等も含みます。基本的にネタバレ・捏造ばかり。
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軌跡(閃中心)

 ※リィン、クロウ多め

    • 蒼の騎士と魔界皇子

       魔界の皇子には、側近と呼べる人物がいた。銀の髪と緋の瞳を持ち、希少な得物である双刃剣を振るうその青年は”蒼の騎士”として魔界中に名を轟かせている。 クロウ・アームブラスト。かつて光の大陸の西方にあった国の唯一の生き残りだ。彼の故郷ーージュ…

    • 小話5本

      基本的に捏造祭り。【01.月の光すら届かぬここで】 眠れない夜は、時々あった。そのせいで寝不足になって、翌日の授業で居眠りをして、教官からチョークが弾丸のごとく飛んできたりして制裁を受ける事も。不真面目さを装うのには一役買ってくれているから…

    • ライノの花はまた、

       トールズ士官学院に、春がやってくる。窓を開けて大きく伸びをしたクロウは、窓枠に寄りかかってぼんやりと景色を眺め始めた。 明日に入学式を控えた校内は、新入生を迎えるために慌ただしく動いていた。主に忙しそうにしているのは生徒会の面々だ。会長の…

    • Don’t say goodbye.

      《-004》 迫る誘いの光。双刃剣を放って駆け出し、満身創痍だったリィンを突き飛ばして代わりに光を受け、ふわりと体が持ち上げられたかと思えば、一瞬で視界が闇に閉ざされる。意識が遠くへと運ばれる寸前、名前を呼ばれた気がしたが、それが誰のものだ…

    • それはありふれた言葉のはずなのに。

      ※Ⅱ終章後を少し捏造してます。『今日の午後六時に、学園の門出てこれそうか? たまたまそっちに行ける事になってな、せっかくだから顔見に行こうかと思ってよ。返事待ってるぜ』 朝起きて、ある程度支度を終えた頃に飛び込んできたメール。それは少しだけ…

    • 拝啓、十七歳の俺へ。

      先日のコミックシティに無配として持っていった「閃ミュネタぶっこんだ豆本」です。そろそろいいかなと思ったので置いておきます。―――――― 拝啓、十七歳の俺へ。 おおよそ二年先の未来に、俺はいます。 伝えたい事があるので、これを書きました。未来…

    • 黎明はかく語りき

      「このクラスは、俺を入れて四人。これで全員か」 偶然なのか、何かの縁だったのかは分からない。奇しくも同じ数字を率いる事になり、あの日々を思い返さずにはいられなかったが、今は一旦置いておくべきなのだろう。 資料を置き教壇に立つと、初対面の二人…

    • 一アージュの距離の名を

      ※真ん中らへん薄暗い。 その少女は、自分の事を〝造られたモノ〟のように言い表す。 その少女は、自分が時折抱く感情を〝妙なモノ〟として処理している。 その少女――アルティナ・オライオンは、更地のようだった自身の心に芽生えつつあるものが存在して…

    • Resonance Beat

       ――ただひたすらに、前へ。 その言葉は、心の傷跡にそっと染み込んでゆく。 決意を後押しする、確かな光を宿したまま。「エリオット、マキアス」 帝都ヘイムダル、バルフレイム宮前。ドライケルス像の前でマキアスとエリオットが談笑していると、久々に…

    • Call my name

       どこまでも真っ暗な世界に、彼は独り。 最後の記憶は、焼き付いて離れなかった。心の臓を貫いた緋の尾、止まることのない鮮血、徐々に消えてゆく視界。瞳から雫を落としながら、必死で呼びかける〝仲間〟達。痛みを通り越したそれは、流れてゆくはずだった…

    • 行動理由

       ――彼はただの〝監視対象〟です。それ以上でも、それ以下でもありません。 何故そんな事を聞くのですか? 理解不能です。任務として同行してはいますが、彼に対してそういった感情は一切ありません。――からかっただけ? はあ……よく分かりません。 …

    • Remaining Glow

      ※カウントダウンSS、34日の時に書いた「追憶と刃」の加筆修正版です。※捏造とささやかな願望ばかりです(当たり前ですが)。 あの日――エレボニア内戦が終結し、一つの物語が静かに幕を閉じた。 十九年分の記憶と想いを抱いたまま、悪友の腕の中で、…

    • 閃ⅢカウントダウンSSまとめ

      閃の軌跡Ⅲ発売カウントダウンで書いていたSSのまとめです。発売前に書いたものなので一人称などが異なるかもしれません。【追憶と刃】 過ぎる思い出が、微かに刃を鈍らせた。脳裏に焼き付いて離れないあたたかな――けれど、ずっと抱いていくにはあまりに…

    • 残照の路

       自分だけが犠牲になればいい。俺が命を差し出してみんなが助かるのなら、それでいい。己が消えた世界でも、自分の大切な人達が笑って生きていけるのなら――。 それはずっと、ずっと彼が抱え続けていたものだ。それでは駄目だと何度言い聞かせても、他人か…

    • コープス・リバイバーは叶わない

      「お前は、誰だ?」 感情を読み取らせない仮面。問いかける声からは、僅かな焦燥と苛立ちが滲み出た。 眉間に突き付けられた銃口をぼんやりと見たまま〝彼〟は一つ、息を吐く。まったく動揺を見せないその様子が、ジークフリードの内側に沸き上がったそれら…

    • リィン・シュバルツァーは帰れない

      ※昨年度発行のまじアリアンソロ寄稿分です。主催様に許可はいただいています。(TVアニメ・魔法少女★まじかるアリサ第三十五話)【前回までのあらすじ:モナ君と契約を交わし、光の世界の為に魔界の手先と戦い続ける魔法少女・まじかるアリサ。普段はごく…

    • ボーダーラインと揺れる消失点

      ※夜のラクウェル探索がリィン一人だったら、というif妄想。そしてお題箱リクエストの「リィンと蒼のジークフリードの邂逅」のSSとなります。 星が瞬き始める頃、その街は昼間とは違った姿を見せる。 情報収集の為にリィンがたった一人で踏み入ったラク…

    • 星々は大団円の夢を見るか?

       命の終わりは、永い、長い旅の始まりだった。 終着点などない、いつまでも続く旅路。朝が来ない事と、生者が居ない事以外は今まで居たゼムリア大陸と何も変わらない世界を歩いてはいるが、これといった目的はない。同じ場所で目覚めた三人で、なんとなく始…

    • TwitterSSまとめ(Ⅲ~Ⅳ発売前まで)

      ※台詞から勝手に妄想を広げたⅣフライング妄想含みます。【届いても届かない】 そっくりな髪の色と、瞳の色。見慣れているようで、見慣れていない色だ。「……俺の顔に、何か?」 無意識に見つめてしまっていたのか、テーブルを挟んで反対側に居るリィンは…

    • 色褪せる事のない青であれ

       部屋に吹き込む風は、夜にもなるとだいぶ冷たさを含んでくる季節だ。ノルドのそれとはまた、違った風を感じる。「……」 目の前には、真っ白な画用紙がある。まだ何を描くかは決めていない。ただ、なんとなく、まだ見た事のない風景を描いてみたいと思った…

    • The die is cast

      ※GE3パロ『使い捨ての道具だって言うなら……この腕輪を着けた時に、感情も消してくれれば良かったのに』『そうすれば、こんなに怖くて……痛くて、苦しくて……辛い思いだって、しなくて良かった、よね』『死にたくなかった……まだ、生きたかったよ』『…

    • 創(はじまり)の蒼へ

       規則的なようで、時折、そこからは外れたタイミングで車体が揺れる。それだけでは彼の膝上の、弁当が入れられた小箱が落ちることはなかったが。 彼――クロウの乗る列車は駅を出てから数時間、ジュライを目指して走り続けていた。景色の中には、遠くに青い…

    • そばにある光

       いつもは、追いかけられる夢を見ていた。今までにオレが殺した人達が、人のかたちを保たなくなっても、怨念を撒き散らしながら、どこまでもオレを追いかけてくる。やがてその波はオレを飲み込んで、そして、現実の体で嘔吐感と息苦しさを覚えて、目覚める。…

Fate RepeateЯ(リィン+クロウ中心本再録)
       
     時間を巻き戻す妙な懐中時計を拾ってしまったリィンが、運命や宿命が歪んだ刻の中で、取り戻せなかった〝あいつ〟の背を追う話。

     発行:2017/01/29 COMIC CITY東京139/頒布終了済
     表紙・挿絵イラスト:キツラ様

    • Chapter:00

      Every new beginning comes from some other beginning's end. 俺は五回、世界を巻き戻した――巻き戻してしまった。 その事をふとした瞬間に思い出しては、悔いる時もあった。夢であればよかっ…

    • Chapter:01 Actuality

      And I wish it were, but this is no dream. This is reality. Cold, cruel reality.「そういえば、俺の自己紹介がまだだったよな。――二年Ⅴ組所属、リィン・アームブラス…

    • Chapter:02 Nightmare

      In our hearts, the flames of silent anger.In our hands, the hammer of judgement that shall topple the dictator. 時が巻きもどり、…

    • Chapter:03 Similarity

      Heh...It's very simple, really.I want to know because I like you. 時がまきもどり、因果が歪む。 長かったようで短かった学院祭も、この後夜祭で終わる。十月も終わりが近くなってい…

    • Chapter:04 Wish

      I wanted to find myself, I guess. 時がまきもどり、因果がゆがむ。「珍しい事もあるものね。こんな時間まで起きているなんて」 パンタグリュエルの甲板で眼下に広がる雲海を眺めていたら、声が掛けられる。振り返らずと…

    • Chapter:4.5

      I cherished every last moment.I never wanted it to come to an end. 一回目。 俺が降り立ったのは、七色のステンドグラスの上だった。触れてみれば、それは微かにあたたかい。 ――…

    • Chapter:05 Engagement -01

      Those who are confronted with impossible odds can choose to react in one of two ways: abandon hope and accept a pitiful …

    • Chapter:05 Engagement -02

       蒼の光に包まれ、ぷつりと意識が途絶えた次の瞬間には、身を裂かれるかのような何かの奔流の中へと放り出されていた。『リィン君、一つだけ忠告しておくわ。これから君が入り込むのは、クロウの精神の中――そこは、膨大な情報が飛び交い、永遠の眠りへと向…

    • Epilogue Resonance

      There's no turning back from here.So let's just keep moving forward! 差し込む朝日の眩しさで、目を覚ます。「ん……もう朝か」 体を起こして窓を開けば、爽やかな空気が流れ込ん…

7f:Dreams(リィン+アルティナ中心本再録)
       
     クロウやオーレリアの出番も多めな、75%くらいほのぼのしてる本。
     黄昏が訪れる中、リィンが目覚めると目の前には“分校教官生活の二年目”があって……?

     発行:2018/08/30 /頒布終了済
     表紙・挿絵イラスト:キツラ様

    • 序章【祈り望んでる事はただ、】

       何も届かない。一筋の光さえも。 何もすくえない。誰かの命も、大切な刻も、手のひらをすり抜けていく。 何も守れない。無力な自分には、一つも。 何も聞こえない。――否、誘うように響く声がある。 踊れ、狂え。 染まれ、浸れ。 耳を塞いでも聞こえ…

    • 一章【繰り返しはしないと決めたから】

       いつもと何も変わらない朝を迎えた、はずだった。 普段よりも学院が遠く思えて、動かす足どころか体が僅かに重いと感じるのも、きっと気のせいだ――と、リィンは自分に言い聞かせて教室の扉を開けた。「リィン教官おはようございま――……って、ふらつい…

    • 二章【君達に言っておきたい事がある】

       セピア色の世界の中、リィンはどこかの家の隅に立って目の前の光景を見つめていた。 体を動かす事も、自分に触れる事も出来るが、物には触れられない。 夢なのだという事は理解したが、初めて見る場所ではなかった。見覚えのない場所のはずなのに、そう…

    • 三章【俺も君もまだ道半ば】

       夕刻の図書室。静けさに包まれているこの場所に居ると、ここ数日の忙しなさが嘘だったのではないかと思ってしまうほどだった。 新年度特有の慌ただしさは先週に比べれば収まってきていたが、まだやるべき事は残っていた。士官学院としては異例の〝副教官〟…

    • 四章【一体誰に似たのだろう】

       ――ああ、またしても〝覚えていられない〟夢だ。 セピアがかった空間。鏡台の前に幼い自分がかれこれ十分は座っているのを、リィンはぼんやりと後ろから見つめていた。「どうしたの? ずっと鏡とにらめっこして」「ここ、きになる」 幼い自分が引っ張っ…

    • 五章【君が生まれた日】

       リィンはいつの間にか、どこかの家の中に立っていた。 懐かしい声がする。懐かしい、匂いがする。それは自分のもののようで、自分のものではないような、不思議な感覚だ。『リィン』 ぼんやりと、目前の光景を彼は傍観する。 温和そうな黒髪の女性が呼ん…

    • 六章【平穏なる刻、リーヴスの夜】

      「やっほー、リィン! アーちゃんも!」 一日が終わりへと向かう刻。学院での用事を終えたリィンとアルティナが寮への道を歩いていると、駅の方から元気よく声を掛けられる。 ぶんぶんと勢いよく手を振る声の主は、薄暗くなり始めている中でもはっきりと認…

    • 七章【へし折るためにフラグはある】

       黄昏――つまり日が暮れる時間が怖く感じる、と、アルティナが口にした事がある。情報局のエージェントとして任務を遂行してきた彼女が、夕暮れを怖いと言うのは少し意外だった。これも、感情が芽生えてきたが故のものなのだろうか。 日によって異なる色彩…

    • 八章【願いを彩る為のパレット】

      「おかーさんっ、目の色みせて!」 ――幼い自分が、スケッチブックを手にして母を見上げている。すぐに夢だと理解した。失われたはずの過去の記憶の中に入り込んだ事も、思い出す。 抱えていた洗濯物を置いて、母――カーシャは微笑んだ。自分の瞳を指差し…

    • 九章【小さくも大きなネガイ】

       魔獣の中には、状態異常を引き起こす攻撃を仕掛けてくるものがいる。時間経過と共に身を蝕む火傷、自由を奪う麻痺。時に一撃で行動不能に陥ってしまったり、治してもしばらく後遺症が残るものもある。対策を立てていても、初めて訪れる地では情報不足故に、…

    • 終章【それははじまりのサイン】

       思い出さない方が幸せなのだと、錠で何重にも封じられているのか。それとも、忘れてしまえばいいと抹消されているのか。 そのどちらなのかは、分からなかった。今、目の前にある干渉出来ない記憶も、目が覚めれば全部忘れている。留める事が許されないのだ…

    • 断章【B.Destination-Side.C】

       封をされた心に届く。絶望の淵で為す術もなく、今はもう届かない光の水面を見上げて、深い悲しみと憤りを抱えた、声のない叫びが。 封をされた心が開く。黄昏の来訪に――悪友の危機に、呼応するかのように。「……ったく、このタイミングで思い出すとはな…

イース

 ※IX、SEVEN多め

    • 君と冒険する夢を見たんだ

       今日も、礼拝堂の天井は高い。どれだけ手を伸ばしても当然届かないし、掠める事すら叶わない。毎日のように眺めても変わる事はなく、移り変わる事のないものだ。 停滞したままの、ある意味作り物の空。我ながらよく飽きないな、と思う。上手く馴染めない上…

    • 約束と遺志運ぶもの

      ※ゲームにない台詞足してます「さあ、アドル……全力で受けてもらうぞっ!!」 匿名で出された、シャトラールの遺品処理という依頼。それは、造り出されてしまった、本来存在してはならないホムンクルスたちの消去を意味していた。『ここにあと一体……残っ…

    • 君の旅、僕の路

      ※Ⅷ部~ネタバレ「君に頼みがある。……できれば一緒に行きたかったけど、この体はどうやら限界みたいだ」 これが必然なのか偶然なのか、そんな事は些細な話だ。どちらであろうと、僕が抱くものは変わらない。「でも、ここで終わるわけにはいかない。冒険は…

    • その燃えるような色の名は

      【イースワンライ/お題:アドル・クリスティン】 赤毛のアドル。その冒険家は、一人の少年に小さな灯を与えた。 病気を抱え、自由に走り回る事も出来ず、成人するまで命はもたないと言われているその少年が、精一杯生きようと思えたきっかけが“赤毛のアド…

    • ××年分の話をしよう

       その平原に咲いていた花は、彼、アドルが生前の冒険の途中で、何度か目にしたものだった。 懐かしいな、と、少し屈んで、彼は綿毛を見守る。やがて穏やかな風に乗って旅立つそれらは、一体どこで芽吹くのだろうか。 ――ダンデリオン。旅立ちの花。 アド…

    • ピッカードの恩返し

      【イースワンライ/お題:ピッカード】「あれ? こんなところにピッカードがいます」「本当だ、珍しいわね。脱走してきちゃったとか?」 つぶらな瞳に、丸々とした体を支える小さな足。それと、心を射抜かれる人も少なくはないという可愛らしい鳴き声。 ダ…

    • 剣の記憶

      【イースワンライ/お題:戦闘シーン】 ※捏造有 薄暗い旧坑道の中に、魔物の鳴き声が響く。「邪魔をしないでくれ!」 迷いがない。彼の戦いを見ていて、素直にそう思った。 振るっているのは錆びた剣だが、得物の心もとなさは微塵も感じさせない。的確に…

    • Re:Friend

      ※色々捏造。Ⅸの四年後くらいを想定 夜にもなれば冷え込む時期だとは思っていたが、星々が隠れてしまった灰色の空から雪がちらつき始めたのを見て、思わず苦笑する。「もうそんな季節になったんだな」 立場上、ロムンを流れ行く季節を意識していないわけで…

    • Re:Count

      『一緒に過ごせたこと……楽しかった』 別れの言葉は言わなかった。最期にそれが伝えられれば、十分だった。 体の感覚が消えて、少し経った後。意識はまだ残っているが、周りは何も見えない。何もない。あの監獄よりも暗く冷たい空間の中に、マリウスは一人…

    • いのちが終わるその時に

      【イースワンライ/お題:アドル・クリスティン+別れ】 相変わらず静まり返っているエルドゥークの街は、少し前に踏み入った時よりも崩壊が進んでいるように思えた。元々廃都ではあったものの、ヴェスヴィオ山の噴火の影響は決して少なくはなかったようだ。…

    • 三人の、さいごの願い

      ※昨日イースワンライに投稿した小説を大幅に加筆修正したものになります(2.5倍くらいの長さになってしまいました) ああ、死とはこういうものなのか。 この世に生を受けてから二十九年、長いようで短いものだった、と思う。「サイアス……」 遠のく意…

    • 空に届く花

      ※マヤの口調等、色々完全に捏造です 故郷よりも強く感じられる日差しは、午後になると更に眩しくなる。が、その陽光を反射する海原は美しく、つい足を止めて見入ってしまう。 空と海の青は混じりそうで混じらないまま、遠く彼方まで続いていた。「バルドゥ…

    • 全てを捨てて、全てを捧ぐ

       鐘が鳴り、軍港から船が巡回に出て行く。非番の日でもここに来てしまうのは、もはや癖のようなものだ。宿舎を出た後は、自然とここへ向かっている。 ロムンと海賊への警戒を兼ねている、軍船での巡回――竜騎士団は今日も、守るべきものの為に在り続けてい…

    • 少女の回想

       少女――マヤ、という名を持つ彼女は、見知らぬ土地をひとりで彷徨っていた。「……うぅ……」 強い日差しと風が、容赦なく幼い彼女の体力を奪っていく。遠くに街が見えるが、あそこまで辿り着けるのかどうか――意識が霞んでいく中、マヤは気力を振り絞っ…

    • 竜騎士と太刀

      ※名前出ませんがNPC竜騎士メインです 人間、誰にだって怖いものがあると思っている。何も怖くないと言ったって、一つくらいはあるだろう。いや、あるはずだ。 アルタゴの民を守る、誇り高き竜騎士である僕だってそうだ。そんな僕が怖い、苦手なもの――…

    • 風と共に

      ※マヤの口調捏造 飛んでいく。風に乗って、光のような白い花びらが。「……おねーちゃん……っ」 最後の最後までその光を抱き締めていたマヤ。それらが完全になくなってしまっても、しばらくそのまま、彼女は動けずにいた。 アイシャがマヤの隣に屈んで、…

    • 草笛の奏

      ※2020/12/29のファルコムオンリーにて、PDF無配として置いていた小話です。「楽しい思い出はたくさんあるけど、何より、あなたに出会えたことが一番嬉しかった。本当に、心からそう思うの。あなたとは女神としてではなく、フィーナという一人の…

テイルズオブ

 ※作品ごった煮

    • 闇の力を授かったのに闇の術技を覚えない料理人、闇鍋を知るの巻

      ※合同誌〝月刊トントンチキチキ〟寄稿再録。お題:リバース×食材不明な闇鍋を恐れつつ食べる 好奇心――それは時に新たな道を切り拓く標であり、またある時には身を滅ぼすきっかけとなるものだ。未知が眠る遺跡でそれに従えば、世紀の発見が待ち受けている…

    • xxx the future

       人間、奇妙だったり不思議だったりすることに慣れてしまうと、些細なことでは驚かなくなってしまう。信じていたものがくるりと覆された旅を経ていれば、尚更のことだ。 アルフェンたちとのそれを経た今、そのような現象にはもう遭遇することはそうないだろ…

    • 夢幻の白

      ※ほぼツーライ。 夢だ、と。夢の中にいてもそう判断することができた。「もう少し、共に戦えると思っていたのですが」 惜しむような、それでいて、どこかこうなることを予期していたような表情。 見えない壁に阻まれて、彼は目の前にいるのに遠く感じられ…

    • 守りたいものがある。それだけだ

       空を覆い尽くした漆黒の中には、幾千の星が輝いている。それはもう、数えるという行為は無意味なほどに。 夜の帳が下りた頃、地上に届く小さな光。きっと、そのすべてを把握する事は叶わない。 レーヴァリアを形成するのは、数多の目覚めの世界の人々が見…

    • I wish you good morning.

      ※ライフィセット=マオテラスなのでは、という考え前提。あとこうなったらもれなく死ぬのでこうならないようにと願いつつ。 人のものとは到底思えない叫びが、鉛と穢れの空へと響き渡る。それが何を意味するのか。喰らうべきものではないものを喰らった彼女…

    • アラウンド・ザ・ワールド

       それを見たのは、彼にとって随分と昔のようで、そうでもない。暦の上ではかなりの月日が流れていても、その三分の二以上は眠っていたのだから、当然だったが。 ふわふわと浮き上がるそれを見て、スレイは息を吐く。「ミクリオはさ」「ん?」「やめないの?…

    • 君のいる夢、その彼方

      ※スレイ帰還ifエンド。但し設定がちょいちょい本編と異なるので(特にドラゴンの扱い)あくまでパラレルワールドとして見てください。※スレアリサルベージ本に寄稿させていただいた話。 その身に神を宿し立ちはだかった災禍の顕主が、眩いばかりに辺りを…

    • テイルズオブゼルダリア

      ・いきなり最終決戦。・ザビーダ=ナビィーダ。なのでちまい。・ヘルダルフ=ガノンダルフ。適役。・スレイ=時の導師。緑衣ではない。・アリーシャ=ゼルダ姫ポジ。ゼルダのテーマ→アリーシャのテーマで変換。・術技だいぶ盛ってる。・漫画版準拠なんだけど…

    • ヴァイオレット・アイ

       今立っている場所が夢である事は、すぐにわかった。現実に居るはずのない人物が、そこに居たからだ。「……彼は……」 向こうはまだ、こちらには気付いていないようだった。高原の草の上に腰を下ろし、ただぼんやりと、雲が流れる空を見上げている。風に吹…

    • ホワイト・バード

       風が吹く。 どこまでも澄んだ空気に満ちている。広がる雲海には先が見えず、描かれた青と白の境の線は時折混じりながら、遥か彼方まで続いている。――あ! 今、空をネコのような妖精が飛んで行きましたわ! ぼんやりと蒼穹を眺めていてふと過ぎったのは…

    • 秒針速度

      ※もしイズチ組が寿命差のことを知っていたら、という話。フライング・捏造注意。 彼らがマビノギオ遺跡を探検し始めてから、どれくらいの月日が流れただろうか。何度も何度も足を運んで、くたくたになるまで歩き回って、そのたびに新しい発見をしては議論を…

    • 継承物語

       ふと気が付いた時には、彼はそこに立っていた。 どこかの部屋だろうか。そう高くない天井から吊り下がった、橙色の仄かな灯りに照らされる本棚。隙間なく並べられた本の数々は、背表紙を見る限り様々な言語で書かれている。だが、見知らぬ言葉であるという…

    • 白紙地図

       二人の中の世界地図は、ずっと白紙のままだった。 天族の杜から見る景色は、いつも変わらない。雲海に覆われた下界はほとんど見えず、どんな建物があるのかも、どんな生き物や植物が息づいているのかも、二人には分からない。「ミクリオはさ」 果てしなく…

    • 小夜時雨

      ※ヴィヴィア水道遺跡は聖剣祭の後に訪れてる? とか相変わらず捏造多め。 スレイの背を見る事が多くなったのは、いつからだっただろうか。 憑魔を打ち倒すべく、スレイが儀礼剣を抜刀しようと柄に手を掛ける。その姿は、ミクリオには少し前とどこか違って…

    • 箱庭青年

      ※現時点での情報から捏造しまくりなので矛盾が分かったら修正します。 どうしても書きたかった…… 彼は“外”を、知らなかった。 箱に囲まれた小さな世界の中の空を見て、遥か太古と現在を繋ぐ歴史に思いを馳せる。そんな日々が続いていた。 見渡す限り…

    •  青い空の中を、蒼の蝶が飛んでいる。 海を臨む場所に、“彼ら”の墓はあった。「コルル。ちょっと待っててね」 色とりどりの花を抱えて墓石に歩み寄った少女は、それらをそっと供える。彼女の足元を忙しなく歩き回る子猫は、後ろからゆっくりとやってきた…

    • 互いの証は互いの存在

       そこには、もう帰れないはずの日常が広がっていた。失った日々が、手放してしまった毎日が、そこにはあった。 正史世界の事を忘れたわけではない。いつか終わる夢だという事もわかっていた。 ただ、そこで迎える平穏な朝があまりにも懐かしくて、少しだけ…

アスタータタリクス
    • 終わりを語らぬエンドロール

       一千年。普通に生きていれば想像もつかないほどの長い、長い刻。それは孤独な旅であり、温もりのない眠り。 封印の地を訪れた者たちの声が、向けられる想いが、さいごに交わした〝弟〟との言葉が、そこに静かに寄り添っている。数えきれないほどの月日が巡…